2014年4月18日金曜日

中国で何が起こっているのか?-(1):恫喝作戦から懐柔作戦へ変更、それだけか?裏に権力闘争か?

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●16日、香港紙・大公報(電子版)は、故・胡耀邦元総書記の三男、胡徳華氏が日本メディアの取材に対し、「中国の改革開放に最も貢献したのは日本だ」と述べたと伝えた。写真は浙江省にある胡元総書記の銅像。


レコードチャイナ 配信日時:2014年4月17日 22時6分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=86743&type=0

胡耀邦元総書記の三男、
胡徳華氏「中国の改革開放に最も貢献したのは日本」―香港紙

 2014年4月16日、香港紙・大公報(電子版)は、故・胡耀邦(フー・ヤオバン)元総書記の三男、胡徳華(フー・ダーホア)氏が日本メディアの取材に対し、
 「中国の改革開放に最も貢献したのは日本だ」
と述べたと伝えた。

 胡徳華氏は15日、江西省九江市の共青城で行われた胡元総書記の追悼式典に出席した際、日本メディアの取材に応じた。

 胡徳華氏はその中で、
 「中国の改革開放に最も貢献し、最も支持したのは米国でもソ連でも欧州でもなく、日本だ」
と指摘した。
 また、1945年に胡元総書記が重い肝臓病を患い、命を落としそうになった時も
 「最後に治してくれたのは日本人の医師だった」
と語った。

 この発言について、北京大学国際関係学院の梁雲翔(リアン・ユンシアン)教授は、
 「当時はソ連という共通の脅威に対し、中国は日本の資金や技術を、日本は中国の原材料や市場を欲するなど、経済の相互依存が強く、両国関係が最も良かった時期だ」
とした一方で、
 「共通の脅威が消えた今では、経済も相互依存から競争へと変化した。
 かつて脇に置いていた問題で争いが起きている」
とも指摘した。


  このところ中国の対日本への姿勢がおかしい。
 中国はラッパを吹いているので、その音色と音量で動きを模索することができる。
 今年のはじめには
★.世界各国に駐在している大使に対日批判の文書を一斉に立ち上げるように指示したり、
 最近では
★.解放軍の首脳部に誓詞を出させている。
[注].サーチナニュース 2014-04-02 18:03
http://news.searchina.net/id/1528766
軍幹部17人が「習近平主席への忠誠」誓う文章を同時発表=中国

第三者的にみるとこれは
習近平への忠誠を演出する「踏み絵」であろう
と思われる。
 政治の世界にあっては、あまりにも大人気ない ことをするものだと思えてくる。
 さほどに習近平の権力把握が危ういのかということを見せつける感じもする。
 公式にはあらゆる機関のトップの座を一身に受けるような形で進められているが、
 どうもその中身は薄氷を踏むような感じなのかもしれない。
 徳川家康ではないが秀吉に対して「誓詞などはなんぼでも書いてやる」といった状況に似ていなくもない。

 中国の目的は「日本を降参」させることにある。
 軍事力を使わずにである。
 尖閣問題をそのきっかけとした。
 この問題を使って日本を抑えこんでしまおうと動いた。
 尖閣反日全国デモを画策実行してから2年近くたつ。
 その間、中国は何かにつけ、ささいな問題を取り上げては日本を叩いてきた。
 しかし、軍事的には何もやっていない。
 やらなくても日本は折れるはずだ、と信じていた。
 物理的やったことと言えば、軍事力ではなく警察力を使って領海域で
 巡視船の鬼ごっこをするだけ
である。
 東シナ海防空識別圏を設定したはいいが、机上では規制力がありそうに見えるが、スクランブルをかけるのは自衛隊機であり、実際の国際上での機能は何ら有効性を保持していない。
 軍事力を動かしていない。
 通常ならば両国の戦闘機がスクランブルの掛け合いになるはずだが、日本側の発表ではそういう場面に遭遇したことはないという。

 中国はスピーカーを片手に音声モードで日本を強烈に批判はするが、実際何かをやるかというと何もしない。
 実行モードでは何もしないというよりもできないように思える。
 尖閣反日デモ以前の日本は「お詫びと反省の日本」であったから、ここまでやれば必ず降参して
 「私が悪うございました、ごめんなさい」
で収まっていた。
 領事館に石を投げ込まれても、ガマンだガマンだと、耐えて耐えてきた国だ。
 ところがしかし、
「お詫びと反省」をさせ、降参させるはずの反日デモ
が逆に
 「日本を目覚めさせてしまった」
という思いがけない結果を生んでしまった。
 ボタンの掛け違いをしてしまったのか、そうは簡単に事が運ばなくなった。
 これは中国にとってまったくの誤算だった。
 あのお詫びと反省と忍従の日本がここまで反発し対抗してくるとは青天の霹靂であった。
 自分たちの行動が2/3世紀に渡って眠っていた「日本を起こす」ことになろうとは考えていなかった。
 というより、寝ている無防備な日本が本当の日本だと思い込んでいた。
 これはまったくの計算違いであった。

  軍事力比較でいうと短期戦なら日本に、長期戦なら中国に分があると言われている。
 もしそうだとしたら、いまは軍事力は行使できない。
 中国は確実に軍事力を増強しており、時間が経てば経つほど中国が優勢になってくる。
 よって、日中関係は凍結して持久戦に持ち込みのが最良の戦略になる。
 民衆は不満を募らせるが、強くなる前に傲慢になったツケで、手出しはできない。
 この時点で小競り合いでもなれば中国民衆は歓喜するだろうが、もし甚大な被害でも出せば共産党政権が危うくなる。
 やりたくてもやれない状況にあるということになる。
 よって日本に対しては「強く」あるいは「厳重に」抗議する、という文言を繰りかえすしか方法がなくなってきている。

 そのせいか、この2年間にわたって中国は日本を」批判することに力を注いできたが、ほとんど功を奏さなかった。
 反対に行く先々で日本の妨害にあい、アジア地域にあっては「対中国包囲網」もどきの国家関係までウワサされることになった。
 これではアジアに覇を唱える「中国の夢」構想は壁にぶつかって立ち往生することにもなりかねなくなってきた。

 これまで2年間、中国はボリュウムをいっぱいに上げ日本を非難してきた。
 しかし、まるで効果がない。
 逆に中国の品性が国際的に疑われる場面も出てきた。
 そのせいだろうか、このところ何かおかしな雰囲気になってきている。

★.例えばこの胡徳華の行動。
 どうやら日本で安倍さんに会ったらしい。
 彼は民間人なので建前上は中国政府は関与しないということになるが、どうも密命を帯びているらしい。
 そうでなければ、中国メデイアが反愛国主義と叩くだろう。

★.あるいは、中国共産主義青年団の機関紙「中国青年報」が東芝グループを賞賛する記事を載せていること。
[注].サーチナニュース 2014-04-04 11:16
http://news.searchina.net/id/1528944
中国「改革派」メディアが日本企業の社会貢献を絶賛の記事掲載

★.あるいは、中国共産党機関紙の人民日報(海外版)はとても人民日報とは思えないような支離滅裂な記事を載せていること。
[注].サーチナニュース 2014-04-15 16:15
http://news.searchina.net/id/1529917
中国・人民日報が米国に<警告>・・・「日本を縄から解き放つと、再び真珠湾を攻撃するかも」

★.あるいは、
[注].レコードチャイナ 配信日時:2014年4月16日 5時17分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=86585&type=0
中国公船による尖閣周辺海域での巡視回数減少、「事態悪化を望まない」という日本へのサインか―米紙

★.あるいは
[注].レコードチャイナ 配信日時:2014年4月16日 17時4分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=86615&type=0
中国に異変!?日本閣僚の靖国参拝を批判せず=対日関係改善を摸索か―米華字メディア

★.特に普段ならダライ・ラマに対しては最上級の非難を発するのに、現在訪日中のダライ・ラマに関してはまったく報道していない。

サーチナニュース 2014-04-18 13:01
http://news.searchina.net/id/1530247
ダライ・ラマが仙台や東京で講演・・・中国では訪日関連の報道なし

ということはつまり、何かが中国内部で起こっているらしい とみて差し支えないだろう。
 では何が起こっているのか。
 想像するとこんなところがあげられるだろう。
①.このままの対日政策では中国側のジリ貧で終わるため、対日政策の舵を大きく切る
 いくらボリュームをあげて反日を煽っても、日本が降参する可能性がないことがわかってきた。
 逆にそれを利用されて、嫌中の思潮が日本社会に深く浸透し、対中国防衛を強化する方向へ追いやることになっている。
 これではヤブハチとらずであり、そのためにこれまでの恫喝一本の戦略から、懐柔作戦も考慮にいれるようにする。
②.習近平の権力掌握の動きがスムースに進んでおらず、対抗勢力が力を持ち始めている
 太子党対共青団という対立なのか、そのへんは不明だが、派閥闘争が対日政策とリンクしてしまう可能性がある。
③.持久戦に対する疑問が生じている。
 このまま待っていていいのか、将来、間違いなく中国は日本を降参させられるのか。
 もし降参させられなかったら、その損失はどう償えばいいのか。
④.日本が中国から逃げ出しているが、それを放置したままでいいのか
 中国の経済が鈍り、今後日本がバックアップするASEAN諸国の成長が危険になりはしないのか

 ①は政策の変更にかかわること
 ②は現在の中国の政局にかかわること
 ③は将来の中国の軍事力にかかわること
 ④は現在の中国の経済にかかわること
などがあるだろう。
 何かが中国国内で起きていることだけは確かである。
 しかし、それが何なのかについて見切るには、まだ時間がかかるようだ。

 小泉時代は中国は上り坂にあって、日本との政治関係なほってどおいても勝手に経済が日本と手を組んでいた。
 いわば「政冷経熱」であった。
 しかし、今は中国経済は下り坂に入っており、さらにわるいことに中国の日本非難が半端でなく強くなってしまっている。
 その結果、ほっておけば「政冷経涼」になっていく。
 それは中国経済の足を引っ張ることにもなる。
 日本としては中国の消費市場を少し手放さないといけないが、うまくASEANの市場を育て上げられれば、十分代替できるものになる。

 『
サーチナニュース 2014-04-18 11:59
http://news.searchina.net/id/1530238

尖閣問題:中国政府「日本のやり方が間違っていた」
・・・領有権についての<原則的主張>はせず

 中国政府・外交部の華春瑩報道官は17日の定例記者会見で、日中関係の改善についての質問を受け、両国関係が悪化した原因は
 「日本の指導者が釣魚島(尖閣諸島の中国側通称)と歴史問題について、極めて間違ったやり方をしたからだ」
と述べた。
 しかし、従来から繰り返してきた
 「釣魚島は古くから中国固有の領土」と主張する言葉はなかった。

  記者の
 「日本の安倍晋三首相は今日、日中関係の重要性を強調する談話を発表しました。
 最近の日中間の交流は、日中関係の緊張局面が緩和に向かっていることを示すようにも見えます。
 中国側は、最近の日中関係に改善がみられると認識していますか」
との質問を受けた。
  華報道官は、安倍首相の談話にかんする報道はまだ見ていないと述べた上で
 「中国側は一貫して、中日の4つの政治文書を基礎として、日本と戦略上の互恵関係を発展させることが、両国の人民の利益に合致し、地域全体の平和と発展に有益と考えている」
と主張。
   現在の極めて厳しい両国関係については
 「だれの目にも、原因は非常にはっきりとしている。
 それは、日本の指導者が釣魚島と歴史問題において、極めて間違ったやり方をしたからだ」
と述べ、
 「問題を解決する鍵は日本側が握っている」
と主張した。
  華報道官は続けて、日本を批判する際の“常套句”を用いて
 「われわれは、日本の指導者が日本とその他のアジア隣国の人民の、歴史を正視し強く反省すべきと言う呼びかけに、真剣に耳を傾け、実際の行動を持って過ちを改めるよう求める」、
 「中日関係が回復し、正常に発展するための条件を作るよう求める」
などとと発言。  
 さらに
 「日本の各界に有識者が両国人民の相互理解を増進し、両国関係について積極的な努力をすることを歓迎する」
と述べた。

 華報道官は、中国側が尖閣諸島について公式の場で言及する際で用いる、
★.「釣魚島は古くから中国固有の領土」、
★.「下関条約で日本が奪った。第二次世界大戦終結時に日本が自ら承諾した条件に従い、中国に返還せねばならない」
といった文言は使わなかった。
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 ◆解説◆  
 国と国との対立、特に領土問題の場合には双方の主張の応酬が「裁き手なき民事裁判」のような様相を示すことが多い。
 主張の基準が「当方にとって有利かどうか」になり、「正しいと認めざるをえない」ことでも、自らにとって不利ならば口を閉ざすからだ。
 誇張や糊塗(こと)も珍しくない。  
 ただし、過度に誇張すると国際社会の反発を招くこともあり、そのあたりの「読み」は重要になる。

●.日本の場合、自らの立場を絶えず主張しつづけるが、
 誇張についてはできるだけ避ける傾向がある。

●.領土問題について国民の多くは、主に自国側の主張を聞かされつづけることになる。
 したがって、相手側を「道理をわきまえぬ、許しがたい存在」と考えるようになりがちだ。
 つまり、領土問題が注目されれば双方の国民が極めて感情的になり、相手を全面否定しやすくなる。
 メディアも、相手国に理解を示す論調を出しにくくなる。
 
★.政府としても、いったん主張したことを撤回すれば、こんどは自国民の猛烈な批判を浴びるこ
とになるため、
★.「撤回はしないが、言わなくなる」程度にとどめる
ことが多い。 
  近隣国間で発生した領土を巡る厳しい対立が、どちらの政府、および国そのものにとっても「重い負担」になることは間違いない。
 しかし、本音では
 「もうこの問題に振り回されたくない」と思っていても、
 政治力学の問題としてそうは言い出しにくく、
 緊張緩和の手をなかなか打ちだせないのが現実だ。




【輝かしい未来が描けなくなった寂しさ】



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