2014年4月23日水曜日

中国の不安(6)=都市化:中国の未来が生まれるところ,そして都市化とは未来の末路

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2014.04.23(水)  The Economist
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40516

都市化:中国の未来が生まれるところ
(英エコノミスト誌 2014年4月19日号)

世界のために、そして自国のために、中国は都市を建設し運営する方法を変える必要がある。


●猛烈なスピードで都市化が進む中国(写真は上海)〔AFPBB News〕

 「偉大な都市は偉大な思想の化身だ」。
 ベンジャミン・ディズレーリはこう言った。
 「ローマは征服を表している。
 エルサレムの塔の上には信仰が浮かんでいる。
 そして、アテネは卓越した古代世界と芸術を体現している」

 中国の役人たちは都市を建設する際、たった1つの偉大な思想を念頭に置いてきた。
 成長である。
 それが大きな恩恵を生み、問題ももたらした。

 経済の自由化が始まってから30年間で、中国の都市人口は5億人以上増えた。
 5億人というのは、米国に加え、英国を3つ合わせた規模に匹敵する。
 既に中国国民の半分以上が暮らす都市は、毎年、ペンシルベニア州の人口とほぼ同じ数だけ増えている。

  2030年までに都市は約10億人の人々が暮らす場所になるだろう
――中国の人口の約70%、
 そして恐らく全人類の約8分の1だ。
 中国の運命、そして共産党の運命は、都市の安定によって決まるだろう。

 起きたことの大半は、息をのむほど素晴らしい。
 1990年代まで19世紀の面影をわずかに残す、活気のない共産主義時代の無秩序な都市だった上海は、ジェームズ・ボンド映画の国際的な舞台として使われた。
 2000年以降、人口が50%増えた成都は、ショッピングモールや長さ300メートルの屋内人工ビーチを擁する世界最大の単体ビル「新世紀環球中心」を誇る。

 鄭州市は今、世界最長の高速鉄道の駅を持ち、24億ドルかけて建設した巨大施設と周辺エリアはサッカー場340面分に及んでいる。
 中国の都市生活者は、6年前には存在していなかったが今では欧州全体の高速鉄道網より長い高速鉄道網の上を時速300キロで都市から都市へ飛び回る。
 2020年までに、この高速鉄道網はさらにあと3分の2、距離にして7000キロ拡張され、人口50万以上のすべての都市がこの鉄道網につながれる。

■外観にひび

 だが、この短兵急な都市化のモデルは崩壊しつつある。
 政府でさえ、それを認識している。李克強首相は3月、中国の都市を覆う有害なスモッグを
 「非効率で闇雲な開発モデルに対する赤信号の警告」
だと表現した。

 世界銀行と中国政府のシンクタンクは、中国の都市部に関する544ページの報告書を作成したところだ。
 報告書は、都市の貧困やみすぼらしい生活、失業といった発展途上国世界で一般的な病理を回避したとして中国を称賛している。
 だが報告書は、「歪みが現れ始めており」、このモデルは「活力を失いつつある」と述べている。

 これらの歪みをもたらしているのは、
 中国の都市化モデルの2つの欠陥
だ。

①.最初の欠陥は経済的なものだ。
 中国の農民は財産権を持っていないため、役人たちは、都市部周辺の農地を強奪し、開発業者に土地を売却して自分自身や自分の都市のためにカネを稼ぐことができる。
 これは不当なだけではない。
 「幽霊都市」――多くの都市の周りに出現している、林立する半分空っぽの高層オフィスと居住用ビル群――を生み出した容赦ないコンクリートの注入にもつながってきた。

 このような性急な開発の結果として地方政府が抱えている膨大な債務は、中国の経済的安定について外国人たちが持つ不安の焦点になっている。

 このような無秩序な都市の広がりは、中国の環境問題も悪化させている。
 米国式の中国の都市を動き回るためには自動車が必要になる。
 北京には今、ヒューストンよりも多くの自動車と、地球上で最も汚いと言ってもいい空気がある。
 そして、それが中国人に影響を及ぼしているだけではない。
 中国は、エネルギーからの二酸化炭素排出量が最も多い国として2006年に米国を追い越し、今は米国の2倍近い二酸化炭素を排出している。

②.都市化モデルの2つ目の欠陥は社会的なものだ。
 中国の都市は今、概して2つの階層から成っており、それぞれが米国とほぼ同じ人口を抱えている。

★.新しい社会的自由を享受し、欧州で休暇を取り、西側の中間層のように過ごす、
 財産を所有する中間層と、
★.工場や単調な仕事であくせく働き、戸籍(戸口)がまだ農村部にあるため公共サービスを受けられない
 最下層の出稼ぎ労働者だ。
 どちらのグループも好況期にはうまくいっていた。
 だが、不満は高まっており、どちらも相手側と党に不信感を抱いている。

 政府は3月16日、都市化を管理するための待望の計画を公表した。
 新たな取り組みの下では、約1億人の出稼ぎ労働者が今後10年以内に都市の戸口を与えられ、それに伴い都市サービスへの完全なアクセスを得る。
 だが、それでもまだ2億人が未登録のままになり、誰が費用を負担するのかという問題も未解決のままだ。

 改革派は、地方政府に安定した収入源を提供するために、不動産――その急騰する価値が中間層を裕福にしている――に対する新たな税を望んでいる。
 中央政府は、それが都市の運営の仕方に関する住宅所有者の発言権拡大の要求を刺激するのではないかと恐れている。

■砂上の楼閣

 習近平国家主席と指導部にとっての課題は、都市そのものと同じくらい巨大だ。
 だが、彼らが講じるべき明らかな対策が2つある。

1]. 1つは、農民に財産権と、それによる自らの土地を売却する力を与えることだ。
 市場が機能することを許されれば、価格は高いものになるだろう。
 全体として中国は米国より居住可能な場所が少ないが、4倍の人口を抱えている。
 国の大部分は山と砂漠で、開発には使えない。

 こうした土地の不足を反映して価格が高くなれば、都市計画立案者は土地を希少資源として認識し、それを効率的に使わざるを得なくなるだろう。
 そうなれば、彼らは、米国式の無秩序な広がりを許すのを思いとどまり、人々が歩いたり、自転車に乗ったり、職場に行くのに公共交通を利用したりする、人口密度が高くエネルギー効率の良い欧州式の都市を建設するようになるだろう。

2]. 必要な2つ目の対策は、意思決定を開放することだ。
 非常に多くの中国の都市が重苦しい空気に包まれている1つの理由は、都市がどのように計画され、建設され、運営されるかについて住民がほとんど発言権を持っていないことだ。
 人々が自分たちの市長や議員を選べる権利を持っていたら、彼らは――世界の他の場所の都市生活者のように行動すると仮定して――、開発を抑制したり、環境を改善したりするための計画的な規制を強く主張するだろう。

 3月に公表された文書は、政府の都市開発計画を「人民中心」と呼んだ。
 中国の都市の目を見張るような変容の次の段階が、対立や混乱ではなく、繁栄と安定をもたらすとすれば、党はその言葉に沿う行動を取る必要がある。

© 2014 The Economist Newspaper Limited. All rights reserved.
英エコノミスト誌の記事は、JBプレスがライセンス契約 に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。

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 この記事のムダは「彼らが講じるべき明らかな対策が2つがある、としているその内容。
 できないことを言っている、ということになる。
1]. 1つは、農民に財産権と、それによる自らの土地を売却する力を与えることだ。
 共産党政権は「公地公民」の上になりたっている。
 つまり、「国土と国民は共産党の私有物」である、という思想である。
 だからこそ、「起きたことの大半は、息をのむほど素晴らしい」ということが可能だったのである。
 もし農民に財産権とその売却権を与えるということは、共産党の存在根本を放棄することになる。
 どう考えても、そんなことはありえない。
2]. 必要な2つ目の対策は、意思決定を開放することだ。
 これも同じ、「共産党だけが考える権利を有する」ということだ。
 意思決定を解放したら、もはや共産党はなりたたない。

 そんな自明なことを持ちだして「都市化:中国の未来が生まれるところ,」と論じても、橋にも棒にもなりはしない。


レコードチャイナ 配信日時:2014年4月25日 7時7分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=87127&type=0

中国で流れる日本に関する“デマ”
=「韓国人は日本車に乗らない?」「日本は2015年に中国を滅ぼす?」


●24日、中国のインターネット掲示板に「子どものころから騙されていた、日本に関するデマ」と題する文章が掲載され、ネットユーザーの注目を集めている。写真は東京モーターショー。

 2014年4月24日、中国のインターネット掲示板に
 「子どものころから騙されていた、日本に関するデマ」
と題する文章が掲載され、ネットユーザーの注目を集めている。
 以下はその概要。

★.デマ1:日本はストレス社会で、自殺率は中国より高い。
 事実:人口10万人当りの自殺者数は、日本が21.7人、
 中国は22.2人で自殺率は中国の方が高い。

★.デマ2:日本人は日本の樹木を伐採せず、中国から木材を安く買いつけて割りばしを作り、中国の資源を浪費している。
 事実:中国が積極的に木材や割りばしを日本に輸出している。
 中国人の多くは自国の自然を大切に扱っていない。
 これを日本人のせいにしてはいけない。

★.デマ3:中国の元NBAプレーヤー・姚明(ヤオ・ミン)は先頭に立って日本製品をボイコットしている。
 事実:姚明の1台目の車はトヨタのセコイアで、すでに両親に譲っている。
 3台目の車は日産のインフィニティ。

★.デマ4:日本のネット上で「日本は2015年に中国を滅ぼす」というスレッドの人気が爆発しており、有名な掲示板に繰り返し転載されている。
 事実:ヤフーやグーグルなど、日本人がよく使用する検索エンジンで検索してもそのようなスレッドは見つからない。
 「人気爆発」であれば見つからないことはあり得ない。
 明らかなデマで、国民の視線をそらす目的があると思われる。

★.デマ5:日本の中国市場への依存度は深刻で、中国製品から離れられない。
 事実:日本人は中国市場を見込んでいるだけで、離れられないわけではない。
 日本が中国に輸出しているのは自動車やカメラ、電子部品、デジタル装置などのハイテク製品だ。
 一方、中国が日本に輸出しているのは下着やくつ下、おもちゃなどで、これらは中国が輸出しなくても東南アジアの国々で同様のコストで生産できる。

★.デマ6:中国企業「新浪(SINA)」は実は日系企業。
 SINAは日本語の「支那」という意味で、日本人が中国人を侮辱するために名付けた。
 事実:新浪は四通利方公司と米国の華淵公司(中国系企業)が合併してできた。
 SINAはラテン語で中国を意味するSINOをもじっただけで、「支那」とは関係ない。

★.デマ7:陸上の劉翔(リウ・シアン)が試合の際、
 日本製品ボイコットを表明するためにユニフォームの「ミズノ」の文字をテープで隠した。
 事実:劉翔はナイキのイメージキャラクターを務めていたため、契約で他社のロゴが入ったユニフォームを着られなかっただけであり、日本製品ボイコットとは関係ない。

★.デマ8:韓国人は愛国心が強く、韓国国産車にしか乗らない。ソウルでは日本車は1台もない。
 事実:韓国では日本車が人気で、ソウルには日本車があふれている。