2014年4月3日木曜日

中国に大きく後れを取ったインド経済:共産党独裁は民主主義より優れている

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レコードチャイナ 配信日時:2014年4月3日 5時30分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=85918&type=0

中国とは真逆?
インドの富裕層が移民しない理由とは―米メディア




●28日、インド人はなぜ中国人のように移民を選択しないのか?その理由は生活水準や教育、財産など多岐にわたる。写真はインド。

 2014年3月28日、フォーブス中国語サイトによると、中国における最近の調査で、
★.資産1000万元(約1億6000万円)以上の富裕層世帯の5分の3がが他国への移民を考えている、もしくはすでに移民している
ことが分かった。

 同じく急成長している人口大国のインドでは、大部分の富裕層が移民せずにインドで生活している。
 なお、ここで言うインドの富裕層は資産100万ドル(約1億円)以上を指す。
 インド人はなぜ移民を選択しないのだろうか?
 その理由を分析した。

1、生活水準
 生活水準の低いインドでは、富裕層は一般家庭よりも高い生活水準下で暮らすことができ、使用人や運転手を雇い、生活をより便利にする設備を買い揃えることができる。
 米国に移民して一般家庭に成り下がるよりも、インドで富裕層として暮らす方がはるかに幸せなのだ。

2、子供の教育
 インドの富裕層は子供をインドの一番良い私立学校へ通わせることができるため、教育を理由に移民することはあまりない。
 しかしゆくゆくは海外の大学や大学院に進学させる親も多い。
 また、中国の学生に比べ、インドの学生には高い英語レベルと民主国家で培った多文化への高い適応能力というメリットも存在する。

3、財産保護
 インドの私有財産に対する保護は極めて強く、個人の財産は憲法で保護されている。
 そのため個人の財産は代々受け継がれ、子孫も富裕層としてインドで生活することができる。

4、旅行の利便性
 インドのパスポートで海外に行く場合、その多くはビザが必要となるため、この点では出国に便利な米国やカナダ、英国、オーストラリアなどに移民してパスポートを取得したいと願う富裕層もいるだろう。
 しかし実際に富裕層が外国のパスポートを取得している例は少数である。




JB Press 2014.04.07(月)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40361

共産党独裁は民主主義より優れている?
中国に大きく後れを取ったインド経済

 インドは世界最大の民主主義国だ。人口12億にも上る国で粛々と選挙が行われ、その結果、大した混乱もなく政権が交代する。

 この5月に行われる選挙では、与党の国民会議派が敗れてインド人民党が勝利すると予測されている。インド版の橋下徹大阪市長とも言われる改革派のナレンドラ・モディ氏(現グジャラート州知事)が新たな首相になると下馬評がもっぱらだ。

■中心部は近代的な都市の様相だが・・・

 3月、インド南部のバンガロールを訪れる機会があった。
 インド南部は北部に比べて豊かであり、進んだ地域とされる。
 その南部でも、バンガロールはコンピューター産業が発達した都市として有名だ。

 街の中心部には高架鉄道の建設が進んでおり、一部は既に開業している。
 ただ、工事の進展ははかばかしくない。
 筆者は3年ほど前にもバンガロールを訪問しているが、その時と比べて開業区間が大幅に増えたわけではない。

 中心部には高層ビルが林立し、近代的な都市の様相を呈している。
 しかし、そのような区域はほんの一部でしかない。
 大半は薄汚れた商店や貧しそうな住居が立ち並ぶ昔ながらのインドの街並みだ。
 周辺の農村はもっと貧しい。
 とてもBRICSの一員として経済発展を謳歌している国には思えない。

 確かに、一昔前に比べて道路の舗装は進み、自動車の数も大幅に増えた。
 牛が引く荷車が泥んこ道をゆったりと行き交う、インドを語るときに必ず思い浮かべるような風景はまず見られなくなってしまった。
 しかし、いくら道路が舗装されても、その周辺にはあちこちにゴミがうずたかく積まれ、異臭を放つゴミも少なくない。
 多くの車が行き交うといっても、先進国の風景とはかけ離れている。

 また、カースト制が原因と思われるが、一部の地域に極貧の人々が集まって暮らしている。
 その周辺では裸足の子供や物乞いを多く見かける。
 IT都市と言われて久しいバンガロールに、現在になっても貧民窟が多数存在する。




●バンガロールで撮影。一歩郊外に出れば貧民窟が多数存在し、ゴミやガレキの山に出くわす。

■経済発展を阻害するインドの民主主義

 インドの1人当たりGDPはいまだ2000ドルに届かない。
 それを考えればゴミの山や貧民窟があることは当然との見方もあろうが、ライバルである中国と比べる時、そう簡単に言い切ることはできないだろう。

 現在、中国の1人当たりGDPは6000ドルを超えインドの約4倍、前回報告したように、地方の農村もそれなりに豊かである。
 インドに見られるような極端に貧しい人々を見かけることはない。
 また、言論統制があると言っても、多くの人は普通に暮らしている。
 戦前戦中の日本のように、普通の人が特高や憲兵の陰に怯える姿を見ることはない。

 経済発展したといっても、中国に極めて大きな貧富の差が存在することは共産党独裁国家の欠点として日本のメデイアが好んで伝えるところである。
 しかし、インドの格差は中国を上回っている。

 どちらの国でも富裕層はベンツを乗り回し、高級料理店で食事をしている。
 両国とも富裕層は同じような生活をしているとしてよいだろう。
 食べているものが中華料理かインド料理かの違いだけだ。

 しかし、貧しい層を見ると、インドの貧困層は中国よりずっと貧しい。
 また、インドの中流は中国の中流よりも貧しい。世界最大の民主主義国家であるインドは格差のない社会をつくり上げることに失敗したと言ってよい。

 民主主義は経済発展も阻害する。
 民主主義国であるインドは、カースト、宗教によって分かれる多くのグループの権利を尊重している。
 そのために、公共事業を行うにしても、立ち退きなどに時間を要する。
 また、選挙が近づくと、バラマキ政策が横行する。
 インドの選挙とはバラマキ政策の競い合いの場と言って過言ではない。

 農村の電力事情について面白い話を聞いた。
 インド南部には多くのため池がある。乾季にはそのため池から農地に水を運ぶのだが、水の運搬は重労働であった。
 かつては多くの子供が水汲みに駆り出され、それは就学率が向上しない一因とも言われた。

 しかし、現在では電動ポンプが普及し、水を運ぶ作業は大幅に楽になった。
 電動ポンプの電気代は農業補助金として政府が支払っている。
 ただ、テレビなど農家が家庭で使用する電気は有料である。
 しかし、電気代を払っている農家はほとんどないそうだ。
 それは公然の秘密になっているが、それを咎める政治家はいない。
 咎めれば、次の選挙で落選するからだ。
 世界最大の民主主義国家であるインドは、世界最大のゴネ得国家でもあるようだ。

■強権的な政治家が支持される理由

 そんな状況下で、日本の橋下氏にその政治手法が似ていると言われるモディ氏が人気を集めている。
 モディ氏は、貧しい人々のゴネ得を強権によって排除し、役人の汚職にも断固とした態度をとる。

 日本では進歩的と自負するメディアが橋下氏の強権的な姿勢をファシストとして攻撃したが、民主主義を重んじた結果、弱者のフリをした人々のゴネ得がまかり通る社会では、民主主義よりファシズムが好まれるようだ。

 中国とインドは共に第2次世界大戦後に新たな国家をスタートさせた。
 スタートはほぼ同時であったが、それから70年ほどが経過した現在、経済発展においてインドは中国に負けたと言ってよい。
 共産党独裁が優れたシステムとも思えないが、発展途上にあるアジアの大国を治める上で民主主義も優れたシステムではないようだ。

 インド人は自国を自慢する際に、独裁の中国とは異なり民主主義を奉じてゆっくりではあるが正しい方向に進んでいると言っていた。
 だが、多くのインド人は民主主義による歩みの遅さに痺れを切らしたようだ。それがモディ氏の支持につながっている。

 シャドーバンクの破綻に揺れる中国からも目が離せないが、民主主義の欠点に気がついたインドからも目が離せない。
 アジアはここ20年ほど順調な経済発展を続けてきたが、急激な成長は社会の矛盾を拡大した。
 アジアは政治の時代に突入したようだ。

川島 博之 Hiroyuki Kawashima
東京大学大学院農学生命科学研究科准教授。1953年生まれ。77年東京水産大学卒業、83年東京大学大学院工学系研究科博士課程単位取得のうえ退学(工学博士)。東京大学生産技術研究所助手、農林水産省農業環境技術研究所主任研究官、ロンドン大学客員研究員などを経て、現職。主な著書に『農民国家 中国の限界』『「食糧危機」をあおってはいけない』『「食糧自給率」の罠』など



【輝かしい未来が描けなくなった寂しさ】




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