2014年4月16日水曜日

中国の不安(3)=裸官となって逃げるか、それともまじめに自殺しようか!:繁栄の中、落伍者を自称する世代の出現

_


ウオールストリートジャーナル    2014年 4月 15日 19:29 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702303433504579503122798687310.html?mod=WSJJP_hpp_LEFTTopStoriesSecond

中国で役人の自殺が急増―大半が精神的疲労訴え

 気弱な人や神経過敏な人、もしくは傷つきやすい人は中国の公務員には向いていないかもしれない。
 国営メディアは最近、2013年に少なくとも54人の公務員が「不自然な原因」で死亡したと伝えた。
 しかも死因の40%超は自殺だという。

 この数字は、共産党による汚職撲滅運動が公務員を圧迫しているのではないかとの見方を生んでいる。
 中国における政治的透明性の欠如が自殺の急増につながっている
と指摘する向きもある。

 一番最近の犠牲者は国レベルで国民の陳情を処理する国家信訪局の徐業安副局長だ。
 地元メディアの報道によると、徐氏は職場で自殺した。
 自殺の原因は不明のままだ。

 重慶市の警察幹部で、数年前には組織犯罪の取り締まりで重要な役割を演じた周渝氏はホテルの部屋で首を吊った状態で発見された。
 明らかな自殺だった。

 他にも、浙江省の小さな町で建設事業を管轄する政府機関で責任者代行を務めていた男性が自殺した。
 建物の査察を監督する責任者だった彼は、アパートの建物全体が崩壊したことを不名誉に思い自殺したのではないかと報じられている。

 中国の公務員が圧力に対処しなければならないことは何も新しいことではない。

 2009年の調査では、公務員の80%超が心理的な疲労と精神的な不安定さを抱えていることが分かった。
 共産党幹部は機関誌「人民日報」傘下の論壇誌「人民論壇」に、公務員が直面している
 「5つの死に方」
を掲載した。
 それには、
①.「不屈の精神がなければ臆病になる、
②.立派な体格がなければ働き過ぎで死ぬ、
③.お酒に強くなければ飲酒で死ぬ、
④.割り切らなければ心配のしすぎで死ぬ、
⑤.強い心臓がなければ怒りすぎで死ぬ」
と記されている。

 従来との違いは、一般公務員にかかる負担が以前にも増して過酷になっていることだ。
 中央政府が政府機関の幹部に対し、より多くの仕事、より効果的な統治、より良い言動を要求していることが背景だ。
 先週発表されたコラムには、最近は公務員にとって
 「仕事、仕事、仕事」、
 「評価、査定、評価」
それに
 「管理、管理、管理」
が重視されていると記されていた。
 その筆者によると、
 政府機関の幹部は今や
 「動物として使われている人間」
のようだ
という。

By     RUSSELL LEIGH MOSES
 (筆者のラッセル・リー・モーゼス氏は北京中国研究センター=Beijing Center for China Studies=の主任教授。現在、中国の政治システムにおける権力の役割の変遷に関する本を執筆している)



レコードチャイナ 配信日時:2014年4月21日 2時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=86791&type=0

中国人が考える、最も学ぶ価値のある「日本人のモノ」とは?―中国ネット

 2014年4月18日、中国のインターネット掲示板に「中国人が最も学ぶ価値のある日本のモノ」と題する文章が掲載された。
 以下はその文章の概要。

 「哀其不幸、怒其不争(その不幸を哀れみ、その争わざるを怒る)」。
 これは魯迅の頼りない中国人をしっ責する言葉だ。
 今日の中国人の生活は次第に豊かになっているが、どれだけの人が生活、民族、国家に対して自信を持っているだろうか。

 日本は中国人が学ぶべき国だ。
 なぜなら多くの日本人は自分の生活、民族、国家に自信を持っているからだ。
 日本は地震が多く、災害の多い国だが、移民の数は多くない。
 それに引き換え、多くの中国人は自分の国や民族を蔑視し、外国人を崇拝している。

 どうして外国人男性と結婚する中国人女性が多いのか。
 どうして多くの中国人が海外に移民するのか。
 自分の国や民族さえも蔑視する人が、海外に移民して尊敬されるようになるだろうか?

 日本という国は確かに強大だ。
 しかし、本当に強大なのは日本人の精神だ。
 勇気に欠け、自信を失った中国人は、逃げることで自分の弱さを変えることができるだろうか?
 外国に学ぶのは大事だが、自分や自分の国、民族を否定しないでほしい。
 私たちが立ち上がるためには、自信を持つことが必要なのだ。



2014.04.28(月)  The Economist
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40551

幻滅した会社員:中国の新たな負け組
(英エコノミスト誌 2014年4月19日号)

繁栄が広がる中、落伍者を自称する世代が出現している。
SMAPの上海公演が延期に


●急発展を遂げた中国の都市部だが、上海や北京のオフィスワーカーの間に、落伍者を自称する世代が出現している(〔AFPBB News〕

 製品検査の仕事をする25歳のジュー・グアンさんは、赤いアディダスのジャケットとキャンバス地のシューズを身に着け、カジュアルな格好よさを醸し出している。
 顎ひげを伸ばす野心があるけれど伸ばす力がないかのように、薄い口ひげとヤギひげを生やしている。

 彼は表向きは、何百万人といる前途有望な中国経済の勝者の1人だ。
 大卒で、上海の工場労働者夫婦の一人息子、そして中国最大手クラスのパソコンメーカー、レノボ(聯想集団)に勤めている。

 しかしジューさんは、自分を勝者ではなく敗者だと考えている。
 毎月手取りで4000元(650ドル)稼いでいながら、顔のない働き蜂のように感じると話している。
 社員食堂で食事をし、夜になると共同賃貸アパートの20平米の自室に帰宅し、オンラインゲームをする。
 恋人はおらず、見つけられる当てもない。
 なぜかと問われると、
 「自信がないから」
と答える。

 似たような生活を送る何百万人もの若者と同じように、彼は自分のことを自嘲気味に、刺激的なスラングで「吊絲(ディアオスー)」と呼ぶ。
 吊絲は文字通り直訳すれば「男性の陰毛」という意味で、敗者を指す言葉だ。
 比喩的には、普通の人が成功することが難しくなっている中国経済において、無力感を宣言する言葉である。

 この自虐的な呼び名を使うことは「ガンジーのように」叫び声を上げる方法だと、ジューさんはほんのわずか冗談めかして言う。
 「これは静かな抗議なんですよ」

 「吊絲」を自称することは、富裕層の腐敗と見なされているものに対抗する、大衆との連帯感を示す誇らしい宣言にもなった。
 この言葉が中国語に加わったのはつい最近のことで、中国全土の会社員、特にIT(情報技術)産業の労働者の心に訴えている。

■日本の「草食系」男子は自らの選んだ生き方だけど・・・

 概ねは男性の吊絲は、社交術に乏しく、オンラインゲームに夢中になっている夢想家が多い。
 結婚に消極的な日本の「草食系」男子と若干違うのは、その生き方を自ら選んだ吊絲が少ないことだ。
 特に不動産価格が全く手が届かないレベルまで上昇していることから、社会の方が彼らの地位を定めたのだ。

 最近のいくつかの研究では、中国社会全体で所得が上昇し続けているが、社会的流動性は低下していることが示されている。
 南京審計学院のイー・チェン氏とロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のフランク・A・コーウェル氏の研究では、中国社会の最下層にいる人たちが最下層にとどまる確率は、2000年以降の方が1990年代よりも高かったことが分かった。
 「中国は硬直化が進んでいる」
と2人は結論付けた。

 同国ポータルサイト大手の捜狐で放映されているオンラインコメディ番組「吊絲男士」は、容赦なく彼らを笑いものにしている。
 2012年の開始以来、この番組の各エピソードは合計15億回以上視聴されている。

 最近放送された回では、ある男性がどんなに仕事が忙しいかアピールし、美しいディナーデートの相手に好印象を与えようとしていた。
 そこで彼は職場からの電話を受け、仕事へ戻るために申し訳なさそうに中座する。
 そして残されたデート相手が会計を頼むと、ようやく当人がウエイターとして戻ってくる。

 同じエピソードでは、イライラの募った初心者ドライバーが、隣の車線のランボルギーニに繰り返し悪態をつき、
 「俺に交通警官の知り合いがいないからといって、いじめるのか?」
と叫ぶ。
 次の場面になると、男は首にギブスをしており、鼻の骨が折れている。

 ジューさんは、自分が吊絲であるのは、工場労働者の息子だからだと話している。
 彼は富裕層2世を意味する「富二代」でもなければ、権力を持つ政府高官の息子を意味する「官二代」でもない(その2つの階層が概して重複することを、吊絲たちは見逃していない)。
 ジューさんと仲間の吊絲たちは、コネかカネがあれば、もっと良い大学に行き、もっといい仕事に就くことができたかもしれないと感じている。

■平均以上の賃金をもらっても「負け組」と感じる理由

 手取りの年収が8000ドル近いジューさんは、多くの中国人から見れば、楽々と中間層に向かって歩みを進めているように見えるだろう。
 上海の張江高科技園(張江ハイテクパーク)で働く人の中では低賃金の方だが、もっと稼ぎのいい人でさえ自分のことを吊絲と見なしたり、「IT労働者」と自称している。

 彼らの給料は上海市内でも平均より高い(上海は2012年の1人当たりの年間平均可処分所得が4万元と、中国の都市部で3番目に高かった)が、成功者に見えるためにかかる費用は法外に高い。
 豪華なマンションや格好いいクルマには全く手が届かない。
 彼らは、背が高く、金持ちでハンサムな「高帥富」になり、肌が白く、金持ちで美人な「白富美」の女性と結婚することを望めない賃金奴隷なのだ。

 急速に発展している経済国では、これは極めて当たり前のことのように思えるかもしれない。
 しかし、北京の政府系シンクタンク、中国社会科学院の社会学者、張翼氏は、
 相対的な貧困を感じる吊絲の感情は、中国で拡大するある貧富の差から生じた厄介な結果だ
と話している。

 張氏は、香港の衛星テレビ局、鳳凰衛視(フェニックステレビ)のウェブサイト上で吊絲を特集した特別インタビューで、下層階級の人たちは完全に疎外されていると感じていると結論付けた。
 彼らは、地位が少しでも上がり始める前よりも、いっそう希望が持てなくなっていると張氏は述べている。

 だが、この状況にもかかわらず、吊絲がマーケティング機会を提供していることに変わりはない。
 結局のところ、ターゲット市場を定義するのが難しいとしても、彼らの数は大金持ちの数よりもずっと多いからだ。

 シューベルト・ヨウ氏は飲食店情報サイト「大衆点評網(dianping.com)」上でクーポンや団体割引サービスを提供して小規模都市の低所得者層(月給が150~450ドル程度)を取り込もうとしている。
 ヨウ氏は、上海や北京のIT労働者が、真の吊絲であると考えてはいない。

 だが、彼ら自身は、自分のことを吊絲であると考えていることが調査で示されている。
 昨年、在北京の調査会社、易観国際(アナリシス・インターナショナル)は、幅広い層のオフィスワーカーに、自分が吊絲であると考えているかを尋ねる調査を行った。

 プログラマーとジャーナリストの9割以上、そして飲食業、サービス業、マーケティング関係に従事する約8割の労働者が自らを吊絲と考えていると答えた。
 自分が敗者であると考える回答者が最も少なかったのは、政府か共産党に勤めている公務員だった。

© 2014 The Economist Newspaper Limited. All rights reserved.
英エコノミスト誌の記事は、JBプレスがライセンス契約 に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。
Premium Information



【輝かしい未来が描けなくなった寂しさ】



_