2014年5月27日火曜日

ウイグル族弾圧と米軍アフガン撤退:イスラム原理主義のターゲットは中国に向けられる

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レコードチャイナ 配信日時:2014年5月27日 5時50分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=88655&type=0

ウイグル族弾圧と尖閣威嚇の根っこは一つ
‥‥‥地下資源を狙う中国


●数多くいる少数民族の中で、なぜ中国がここまでウイグル民族への弾圧を続け、かつ年々、取締りを強化していっているかというと、その原因の一つには地下資源の問題がある。写真は新疆ウイグル自治区カシュガル地区。

 数多くいる少数民族の中で、なぜ中国がここまでウイグル民族への弾圧を続け、かつ年々、取締りを強化していっているかというと、その原因の一つには地下資源の問題がある。

 現在中国には漢民族(90%以外)以外に55の少数民族がいるが、独立を目指すウイグルやチベット以外の他の少数民族が弾圧を受けている事実は、あまり見られない。
 ウイグルやチベットなど、広大な面積を占める少数民族地域が独立すれば、中国の崩壊につながることは目に見えているので取り締っているという事情は基本にあるものの、ウイグル族への執拗な弾圧には別の大きな理由がある。
 
1949年10月1日に中華人民共和国(新中国)が誕生した時、「中国」という国家の代表として国連に加盟していたのは「中華民国」(現在の台湾)だった。
 新中国には同盟国が少なかったため、新中国はエネルギー源の供給を、自力で行わなければならなかった。

 そこで1952年8月、毛沢東は中国人民解放軍第19軍第57師団を石油工業開発に転属させ、石油の発掘作業に当たらせた。

◆「何としても独立しては困る」少数民族の筆頭に

 53年から始まった第一次五カ年計画では、重点項目の一つを石油探査に置いていた。

 そのお蔭で55年10月29日、新疆ウイグル自治区にあるジュンガル盆地でカラマイ油田があるのを発見。
 「カラマイ」はウイグル語で「黒い油」という意味である。
 規模は大きくないものの、カラマイ油田は中国誕生後に発見された最初の油田だ
 (詳細は拙著『中国人が選んだワースト中国人番付 紅い中国は腐敗で滅ぶ』のp32~35)。

 毛沢東の喜びようは尋常ではなかった。
 その間、中国人民解放軍第一野戦軍第一兵団を中心として「新疆生産建設兵団」を設立し、一般人民にも呼び掛けて、大量の漢民族を新疆ウイグル地区に送り込んだ。
 この時からウイグル民族は「何としても独立しては困る」少数民族の筆頭に位置付けられるようになる。
 漢民族を増やしウイグル民族の割合を減らすことによって独立できなくなるようにするため、ウイグル民族への弾圧を強化している。

 もともと新疆地区は、清王朝に征服され「回彊(ムスリムの土地)+新領土=新疆」と命名され(18世紀)、行政制度の整備(19世紀)に伴って「新疆省」と称されるようになった。

 「中華民国」が誕生すると、蒋介石は清朝時代の「新疆省」を引き継ぎはしたものの、その領有権に関しては、それほど固執していない。
 蒋介石は1938年に発掘した甘粛省北西部の甘粛回廊にある玉門油鉱を重要視していたし、まだ石炭が主流だったからだ。

 ところが前述したように、毛沢東になってから一変し、1955年に「新疆ウイグル自治区」と命名し、新疆はエネルギー源獲得のための地と変貌していったのである。
 これが54ある他の少数民族と異なるところだ。

 ソ連崩壊後は、本コラムで何度か書いてきたように、中央アジア諸国から石油や天然ガスを輸入する拠点が新疆ウイグル自治区にあり、全中国にパイプラインを敷いて全中国のエネルギー需要を支えているので、なおさらのことウイグルを手放すわけにはいかなくなった。

◆ウイグルも尖閣も、すべては「エネルギー源の獲得」

 中国が日本の尖閣諸島の領有権を主張し始めたのは、同じく地下資源があるからだ。
 1969年に海底に天然ガスや油田があることが分かったためだが、中国が領有権を主張し始めたのは、「中国」の代表として「中華人民共和国」が国連に加盟した1971年からで、それまでは尖閣諸島を日本の領土と毛沢東は認めてきた。

 このように、一見、中国が内政として抱えているように位置づけられがちな少数民族問題も、実は尖閣諸島や南シナ海における(外国と争っている)領有権問題と、根っこは同じなのである。

 南シナ海も海底に天然ガスや油田があるためで、
すべては「エネルギー戦争」
と言っても過言ではない。

 中国共産党は自らの統治の正当性を人民に説得するために経済発展しなければならない。
 経済発展を持続するには、何としても「エネルギー源」が欲しい。

 そのため国内においてはウイグル族を弾圧し、国外では尖閣を始めとした東シナ海や南シナ海の領有権を主張している。
 行動のパターンは、一見、違うように見えるかもしれないが、その根っこは一つ、「エネルギー源の獲得」だ。
 中国が国内外で起こしている問題は一つにつながっており、
 行動の共通点は「力」によって推し進めようとしている
ことである。

 この視点に立てば、中国がいま何をしようとしているか、なぜここまで挑発的で強権的なのか、その全体像がより鮮明に見えてくる。ウイグル弾圧問題は、日本とも無関係ではないのである。

<遠藤誉が斬る>第36回

遠藤誉(えんどう・ほまれ)
筑波大学名誉教授、東京福祉大学国際交流センター長。1941年に中国で生まれ、53年、日本帰国。著書に『ネット大国中国―言論をめぐる攻防』『チャイナ・ナイン―中国を動 かす9人の男たち』『チャイナ・ジャッジ毛沢東になれなかった男』『チャイナ・ギャップ―噛み合わない日中の歯車』、『●(上下を縦に重ねる)子(チャーズ)―中国建国の残火』『完全解



レコードチャイナ 配信日時:2014年5月27日 1時20分
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テロに怯える中国、「第2の中東化」に危機感―中国専門家が現場ルポ


●目の前に広がっていた光景はまさに異様だった。42万平方メートルの建設面積で、アジア最大といわれる北京南駅の入り口ゲートの前には、自動小銃などで武装した黒ずくめの屈強な男たち数人が乗降客を威嚇するように、横一列に並んでいた。

 目の前に広がっていた光景はまさに異様だった。
 42万平方メートルの建設面積で、アジア最大といわれる北京南駅の入り口ゲートの前には、自動小銃などで武装した黒ずくめの屈強な男たち数人が乗降客を威嚇するように、横一列に並んでいた。
 彼らの前には、やはり黒ずくめの武装警官らしい女性がいて、駅に入る人々の身分証などを点検している。
 彼らの背中には黒地に白く「SECURITY」の文字が見える。

 その横では、指揮官らしき中年男性が無線機でやりとりをしていた。
 新たな情報でも入ったらしく、それを確認するためか、しきりに無線機に向かって、がなりたてていた。
 左端に目を転じると、装甲車両が数台、停車していた。
 ここは駅ではなく、まるで戦場にいるような錯覚を覚えるほどだ。

 ゲートを抜け、駅構内に入る際も手荷物のX線検査や身体検査は当然で、金属探知器を通り抜けると、再び台に乗せられて、係員が携帯センサーで入念にボディチェックをする。
 コインなどの小さな金属片でも感知し、アラームが鳴るほどだ。

 「昆明駅のテロ以降、警戒が厳重になった」。
 ようやく駅構内に入ると、同行していた知人が、この理由を説明してくれた。

 「昆明駅のテロ」とは3月1日夜、雲南省昆明市の昆明駅広場や乗車券売り場などで、若い男女8人が刃物で次々と通行人らを刺し、29人が死亡、143人が負傷した事件だ。
 中国当局は「新疆ウイグル自治区の過激派のテロ行為」と決めつけている。

 このような事件が北京と中国各地の主要都市を結ぶハブ駅である北京南駅で発生すれば、習近平指導部への信頼性は丸つぶれだ。
 それだけに、昆明事件の発生直後、習近平国家主席が武警や警察、軍関係の幹部を集めて緊急会議を開き、北京のみならず、全国各地の重要施設などで厳重警戒に当たるよう指示したという。

 折しも3日と5日にそれぞれ北京で開幕した中国人民政治協商会議(政協)と全国人民代表大会(全人代)では冒頭、委員らが犠牲者の霊を弔うために黙祷をするという異例の開会となった。

 筆者は当時、たまたま北京を訪問していた。
 北京では北京南駅をはじめ、空港や天安門広場、人民大会堂などの重要施設など20カ所近くを武警が24時間態勢で警備しているほか、地下鉄やショッピングモール、ホテルなど市内各所を自動小銃などで完全武装した武警数人が一組になって巡回するなどの対応ぶりだ。
 また、筆者が訪れた天津市でも、市内各地で警備に当たる完全武装の武警部隊にたびたび遭遇した。

 昆明事件からほぼ1カ月後の4月30日には新疆ウイグル自治区のウルムチ駅で爆弾が破裂し、3人が死亡し、79人が負傷するという惨劇が起きた。
 さらに、その6日後の5月6日には広東省の広州駅でも男が刃物で乗客らに切りつけ6人が負傷する事件が発生した。

 それから、ほぼ2週間後の22日、再びウルムチの朝市で爆弾テロが発生し、死者39人、負傷者91人という惨劇が繰り返された。

 中国英字紙チャイナ・デーリーはこれらの事件について、
 「驚くべき類似性があり、中国全土に衝撃を与えた」
と伝えた。
 「2度あることは3度ある。3度あることは4度ある」
ではないが、今後も中国各地の主要駅や主要施設で同様のテロ事件が繰り返される可能性は否定できない。

 このため、中国の警察トップ、郭声●(王へんに昆)・公安相は6日夜には湖南省長沙に飛び、長沙駅を視察した。
 22日の事件では急きょ、ウルムチに飛んだ。
 同省次官で北京市公安局長を兼務する傅政華氏も北京市内の各駅を巡回。
 やはり同省次官の劉彦平氏は上海に赴き、上海駅や近隣の江蘇省蘇州駅などを回り、厳重警備を指示した。

 中国各地では駅構内やショッピングモールなどで、「通り魔だ」と一声叫ぶと、数百人の群衆が一斉に悲鳴を上げ、われ先に逃げ出すなどのパニック状態に陥る現象が多発しているという。

 中国が「第2の中東」と化すのかどうかは即断できないが、
 「中国はテロに怯えている。
 それだけでも実行犯の目的は達したのではないか」
というのが筆者の偽らざる実感だ。

◆筆者プロフィール:相馬勝
1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。
著書に「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)など多数。



ウォールストリートジャーナル 2014 年 5 月 27 日 15:12 JST
http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304357604579587252853207512?mod=WSJJP_hpp_RIGHTTopStoriesThird

【社説】中国政府はウイグル族の文化と自治の要求に敬意を

 22日に中国西部の新疆ウイグル自治区で発生したテロ攻撃は、最近起きた他の一連の事件と呼応しているものの、記憶に残る中で最も多くの死者を出した。
 2台のスポーツ用多目的車(SUV)が同自治区の首都ウルムチ市の屋外市場に突っ込み、爆発物を投げ、31人を死亡させた。
 これはテロであり、非難されるべき行為だ。
 ただし、それは、新疆における政治的疎外の深化を浮き彫りにしており、テロ行為の取り締まりだけでは解決しない問題だろう。

 中国共産党政治局は26日、テロ行為を新たに取り締まることを誓い、新疆ウイグル自治区の党委員会書記は、
 1年間にわたる全国的な反テロ取り締まり運動で、新疆が「主戦場」になる
と述べた。
 北京(中国中央指導部)が脅威を感じているのは、これまでの取り締まりにもかかわらず、テロ行為が増えている点だろう。

 昨年10月には、ウイグル人3人を乗せた車が北京の天安門広場付近で爆発し、車に乗っていた3人のほか、通行人2人が死亡した。
 今年3月には、ウイグル族とみられる刃物を持った集団が中国南西部の鉄道の駅で29人を殺傷した。
 4月には、ウルムチの鉄道駅の外で、刃物と爆発物を持った男2人が自爆し、通行人1人が死亡、80人近くが負傷した。

 北京は、ウイグル人による暴力が総じて東トルキスタン・イスラム運動によるものだとの見解を示している。
 東トルキスタン・イスラム運動は分離独立を目指す団体とされるが、実在する証拠はほとんどない(新疆は1949年より前は東トルキスタンとして知られていた)。
 中国共産党の機関紙「環球時報」は昨年、ざっと100人のウイグル人がシリアでテロリストの訓練を受けていたという匿名の高官による発言を引用しているが、真偽は確認されていない。

 外国で訓練を受ける可能性はあるものの、刃物や簡易爆発物の使用は、あまり訓練を受けていない地元の勢力を思わせる手口だ。
 こうした証拠は、ウイグル人の小さな団体が独自の下部テロ細胞を形成し始めていることをうかがわせる。
 北京にとっての悪夢は、こういった団体が拡散し、やりたいときにやりたい場所で攻撃を始める可能性があることだ。
 孤立しているチベット人と違い、こういった下部組織は中国全域で攻撃を行う恐れがある。

 それにもかかわらず、中国の宣伝機関は外部の力を非難し続けている。
 中国から亡命した世界ウイグル会議のラビア・カーディル総裁などだ。
 しかし、カーディル氏は22日の攻撃を非難した最初の1人でもあった。
 同氏は23日、
 「民間人に対する暴力は受け入れられない。被害者の遺族に心からお悔やみを申し上げる」
とし、
 「中国政府は東トルキスタンの全ての反対分子を武力で抑えつける方針を取っているが、圧倒的多数のウイグル人は依然として、平和的な手段で自由、民主主義と人権を手に入れられると信じている」
と述べた。

 一部のチャイナ・ウオッチャーは1年前、習近平国家主席がウイグル族に対する政府の姿勢を軟化したがっているとみていたが、改革は実現しないままだ。
 習主席は昨年12月、新疆での「急務」が発展ではなく、安定だと宣言した。
 新疆地区の学校は依然として、ウイグル語の教育を抑圧している。
 子供たちはモスクに行くことを禁じられており、ラマダン(断食月)の断食も制限されている。
 ウイグルの伝統に反対する当局のキャンペーンはエスカレートしており、伝統的な婦人服の販売が禁じられている。
 このほか、ひげをはやしている男性は就職や融資を断られることも多い。

 カーディル氏など穏健派のウイグル指導者は亡命しているが、学者のイリハム・トフティ氏や、ウイグル語の推進派アブドゥエリ・アユップ氏は投獄されている。
 自由アジア放送(Radio Free Asia)は、先週のテロ攻撃が発生したのは、ヘッドスカーフを着用したとしてウイグル族の女性と中学生が拘束されたことに抗議する人々に警察が発砲した2日後だったと報じている。

 カーディル氏が指摘するように、これらは全て、暴力に訴えることを正当化しない。
 しかし、北京はさらなる締め付けで、ウイグル人の怒りを増大させるだろう。
 北京はウイグル族の文化と自治の要求に敬意を払う必要がある。
 そうでなければ、中国のチェチェンになりかねない。 



CNNニュース 2014.05.28 Wed posted at 09:55 JST
http://www.cnn.co.jp/usa/35048534.html?tag=top;mainStory

アフガン駐留米軍 1万人弱に規模縮小、16年全面撤退へ


●アフガン駐留米軍のスケジュールについて説明するオバマ大統領=27日、ワシントン

アフガン駐留米軍、16年末撤退へ

 ワシントン(CNN) オバマ米大統領は27日、アフガニスタンに来年以降約9800人の米軍部隊を駐留させ、2016年末には全面撤退するとの方針を発表した。

 オバマ大統領はホワイトハウスでの演説で、「米史上最長の戦争を責任ある形で終わらせる」と表明した。
 アフガンでの軍事行動は2001年9月の米同時多発テロ直後に始まり、12年以上続いている。

 アフガンには現在3万2000人規模の米軍部隊が駐留しているが、今年末には戦闘任務を終える。
 その後は駐留米兵の法的地位を定める安全保障協定の締結を条件に、9800人を残留させる。

 残留部隊は北大西洋条約機構(NATO)軍の一部とともに国際テロ組織アルカイダの脅威に対応し、アフガン治安部隊を支援するなどの任務を担う。

 さらにこの部隊を15年末までに半減させ、
 オバマ大統領の任期切れを間近に控えた
16年末までには、「通常の」大使館警護要員とされる1000人前後を残して全面的に撤退
するという。

 アフガンのカルザイ大統領は協定への署名を拒否してきたが、来月予定されるカルザイ氏の後任を決める大統領選決選投票の候補者は、いずれも署名の意向を示している。

 ブリンケン米大統領次席補佐官(国家安全保障問題担当)はCNNとのインタビューで、来年以降の残留には約200億ドル(約2兆円)の予算がかかるとの見通しを示した。

 オバマ大統領は、
 「アフガンが完璧になるわけではないことは認識しなければならないが、完璧な国にすることは米国の責任ではない」
と述べた。
 また、イラクやアフガニスタンでの軍事行動を終わらせることで生じる余力を、アフリカなど各地でのテロ対策に回すことができると強調した。

 米軍はこれまで、多い時で10万人規模の部隊をアフガンに駐留させてきた。
 この間に2300人以上の米兵が死亡している。


 アメリカ軍のアフガン撤退により、イスラム原理主義の矛先は中国ウイグル地区に向かってくる。
 2016年以降、中国解放軍とイスラムゲリラの血に血を洗う戦闘が始まるかもしれない。
 イスラム主義者としては中国にウイグル族弾圧は決して見過ごせない事態であることは事実だろう。
 いま中国は海軍増強で東南アジアに向かっている。
 しかし、それもあとすこしで、ウイグル地区で足を引っ張られる可能性が大きくなってくる。



【輝かしい未来が描けなくなった寂しさ】


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