2014年5月27日火曜日

周辺国は中国への依存度を下げようと動いている:中国の周辺環境、いよいよ厳しく=「今後長い間、平和な時が訪れることはない」

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レコードチャイナ 配信日時:2014年5月27日 17時6分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=88739&type=0

中国の周辺環境、いよいよ厳しく
=「今後長い間、平和な時が訪れることはない」―中国メディア


●27日、中国BWCHINESEはコラムニストの邱林氏による「中国の周辺環境はますます厳しさを増している」と題する記事を掲載した。写真は天安門。

 2014年5月27日、中国BWCHINESEはコラムニストの邱林(チウ・リン)氏による
 「中国の周辺環境はますます厳しさを増している」
と題する記事を掲載した。

 記事は、タイで発生したクーデターについて、
 「中国政府とタイ政府の『コメと高速鉄道の物々交換』に関する協定が取り消される可能性が高い」
と懸念を示し、
 「中国が進めるアジアにまたがる高速鉄道網の建設に影響を及ぼすだけでなく、中国の戦略的利益をも損なう」
としている。

 また、
 「経済の発展と、中国が世界第二の経済体になったことで、中国と周辺国の貿易上の関係が密接になる一方、国同士の関係は緊張の度合いを増している。
 現在、そして今後長い間、
 中国と一部の周辺国との間に平和な時が訪れることはなく、
中国の地縁政治は楽観視できない
と指摘。
★.「東部沿海は日本、韓国、台湾など米国の第一列島包囲網が敷かれ、
★.南はフィリピン、ベトナムとの南シナ海問題での摩擦が拡大
している」
とする。

 一方で、
 「専門家からは、中国外交はロシア、インドなどの大国や中央アジアのカザフスタン、キルギス、タジキスタン、東南アジアのミャンマー、ラオス、タイ、カンボジアなどを重視すべきとの指摘もある」
と紹介するが、
 ミャンマーを例に挙げて
★.「過去に中国と友好的だった一部の中小国は方向転換し、中国に背を向けるようになった。
 テイン・セイン氏が大統領に就任して以降、ミャンマーは日本や米国に手を伸ばし始めた」
と指摘する。

 記事は最後に
 「中国の周辺環境は、ますます厳しさを増している。
 米国の中国周辺国への介入が以前より増していることから、周辺国も米国の力を借りて
 中国に対する依存度を下げようとしている。
 これは、
 中国と周辺国の関係が徐々に互いが求める利益のバランスが取れない状況に変化
していることを意味している。
 彼らは中国との関係において、多くの主導権を握るようになるだろう
と結んでいる。



レコードチャイナ 配信日時:2014年5月27日 18時42分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=88710&type=0

米国とは時代背景が違う中国、
経済力だけでは世界のリーダーにはなれない―英紙


●24日、英紙フィナンシャル・タイムズは、中国が世界のリーダーとなる時代も遠くないとの見方に対し、米国の台頭の歴史から考えると、経済力だけでは世界をけん引する権力を獲得することはできないと報じた。写真は天安門広場。

 2014年5月24日、英紙フィナンシャル・タイムズは、中国が近い将来、米国を抜いて世界最大の経済体となり、中国が世界のリーダーとなる時代も遠くないとの見方も出ているが、米国の台頭の歴史から考えると、経済力だけでは世界をけん引する権力を獲得することはできないと報じた。
 26日付で環球時報が伝えた。

 中国と米国の台頭の過程には違いがある。
 米国の台頭には第1次世界大戦による欧州の軍事力の低下が背景にあり、これにより米国は工業と金融において力を発揮する絶好の機会を得た。
 しかし、中国はこのような機会に恵まれなかった。
 金融力や経済力を比べても、中国は20世紀初頭の米国に劣っている。
 主要国も焦って中国と同盟を結んでいるわけではない。

 中国の復興は間違いなく21世紀初頭における決定的事件だ。
 しかし、米国における権力の歩みを見ると、経済や政治と戦略の実力の間には複雑な関係が存在している。
 しかも、米国が台頭する過程における2度の世界大戦という唯一無二の状況が現代で再度起こることはあり得ない。
 経済の歴史を見ると、19世紀の英国から20世紀の米国、そして21世紀の中国は1本の線でつながっているのかもしれないが、複雑な地政がさらに太い縄のように存在しているのだ。



2014.05.23(金)  Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40767

アジアが以前のような場所でなくなった理由
(2014年5月22日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 フィリピンの中期成長見通しは中国よりいいかもしれない。
 北京からクアラルンプールに至るまで、チーズの需要は鉄鉱石よりも大きい。
 ネール・ガンジー一族はインドに対する支配権を失った。
 混乱するアジア世界でほぼ唯一見覚えのあることは、将軍たちが再びタイを掌握していることだ。

 これほど巨大で多様な地域について語れる限りで言えば、アジアは流動的だ。
 何年もの間、かなり予測可能なパターンに落ち着いていた後で、変化の歯車がギシギシと音を立てている。
 2008年の金融危機以降、変わらないものがいくつかあった。

 中国は急成長し、地域の成長エンジンになっていた。
 西側諸国の印刷機によってもたらされた低利資金と低金利は、多くの国が借り入れを増やし、伸びない輸出に取って代わるために必要だった内需を刺激することを可能にした。
 ミャンマーのような数少ない例外はあるものの、国内政治はかなり安定していた。

 ところが今、こうしたことは何一つ当てはまらない。
 アジア地域は新たな段階に入りつつある。

■西側の低金利政策に乗って好況に沸いた時代の終わり

 金融危機の研究でキャリアを築いたハーバード大学のカーメン・ラインハート教授は、
 「史上最長の資本移動の大鉱脈」――このおかげで2008年から2013年にかけて新興アジアの多くの国が好景気に沸いた――は終わったと言う。

 高い利回りを求めて資本を西側から追い出した、こうした「プッシュ」要因は反転しつつある。
 そして、新興アジアからの資本の撤退は、それを埋め合わせるアジアの輸出品に対する需要増加を伴うことはないという。

 多額の過剰債務に阻まれて、西側の回復は精彩を欠いたものになるとラインハート教授は指摘する。
 驚くべきことに、西側諸国の中には2018年以降まで2008年以前の生産水準に戻らないところが出てくる。
 そのため、多くのアジア諸国の生活水準と西側の生活水準との収斂は加速する。
 だが、このことは、これが概ね貿易なき回復になることも意味している。

 アジア諸国の中には、大変な目に遭うところが出てくるだろう。
 大半の国は、その不足が前回のアジア金融危機の主因となった外貨準備をたくさん持っている。
 だが、雷が同じ場所に2度落ちることは滅多にない。

 長年の低金利政策の結果である民間債務の増加から新たな問題が浮上する可能性がある。
 ラインハート教授は、
●.韓国(民間債務の国内総生産=GDP=比が103%)、
●.シンガポール(105%)、
●.タイ(127%)、
●.マレーシア(134%)、
●.香港(途方もない208%)
に焦点を当てる。

 「地方債務の冥府」を抱える中国は、あまりに不透明で計算できないとラインハート教授は言う。
 それに加え、この国の投資比率が異様に高いことから、ラインハート教授は、うまくソフトランディング(軟着陸)する中国政府の能力に疑問を持っている。

 中国の成長が実際に予想より早く減速した場合には、急減速がコモディティー(商品)価格の下落や新興市場に対する全般的な再評価を通じて伝染すると教授は予想する。

 状況が変化したことを受け入れるのに、急激な景気減速や金融危機の可能性を信じる必要はない。
 最も優れた経済パフォーマンスを上げているアジア諸国のリストには今、思いもやらない名前がいくつか含まれている。

★.アジアで万年出遅れ組だったフィリピンは、7%のペースで成長している。
 同国は債務が少なく、インフレ率が低い。
 また、中国の縮小する労働人口が成長率を毎年0.4ポイントずつ低下させようとしている時に、毎年成長率を1ポイントずつ押し上げる若くて拡大する労働人口を抱えている。

★.長年戦争状態にあったスリランカの成長率も7%だ。

★.また、あたかも新しいアジアの衝撃を強調するかのように、たとえそれが増税による1四半期だけの異常な動きだったとしても、日本――成長率5.9%――がインドを追い越している。

■「マイニング(鉱業)からダイニング(食事)」への転換

 中国が徐々に投資から離れ、消費主導型の成長に向かうにつれ、需要はあるアナリストいわく
 「マイニング(鉱業)からダイニング(食事)へ」と転換している。
 ハードコモディティーのスーパーサイクルが終わったため、よりソフトなコモディティー――乳製品、肉、魚、穀物――に対するプレミアムが上昇している。

 昨年は、ニュージーランドの方がオーストラリアより急速な成長を遂げた。
 増加するアジアの中間層の食を満たすための乳製品に対する需要は極めて大きく、「チーズ戦争」が勃発し、企業数社はわずかばかりのチェダーを手に入れるチャンスに対して思いも寄らないほどの大金を払っている*1。

*1=オーストラリアの乳製品メーカー、ウォーナンブール・チーズ・アンド・バターに対して国内外の同業者が買収に名乗りを上げ、企業価値を大きく上回る価格で買収合戦が繰り広げられた末に、カナダのサプトが株式の過半数を取得した

 チリのある銀行家は最近、とある会議の席上、筆者に声をかけてきて、自国の好調な中国向け輸出について自慢した。
 銅の輸出ではなく、プラム、ベリー、牛肉、サーモン、マス、鶏足の輸出である。

■政治指導者の交代

 経済的な変化が十分でないとしても、アジアは政治的には大きく変わった。
 インドネシアが中国とインドに続いて新たな指導者を選出する7月までに、人口が合計30億人に迫るアジア諸国が新体制下に置かれる。

 ナレンドラ・モディ氏の場合は、それがインドの成長回復につながる可能性がある。
 習近平氏の場合は、その逆を意味する。
 従来よりペースは鈍いが、より質の高い成長の方が中国のためになるということを受け入れるのだ。

 最後に、習氏の確固たる外交政策は地域に波及効果を及ぼしつつある。
 直近で飛び火したのがベトナムで、係争中の海域で石油掘削作業を行うという中国の決定に怒った同国の労働者が、中国と関係があると見られる十数の工場を襲撃した。

 中国人の賃金が上昇するに従い、日本や米国をはじめとした様々な企業が、自社の低価格品の生産拠点を生産的に――かつ安全に――置ける国を探している。
 タイは、長く続く政治的失態を解決できなければ、もはや最有力の選択肢の1つでなくなるかもしれない。
 アジアでは、投資の場合と同じように、過去の実績が将来のリターンの目安にならないのだ。

By David Pilling
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